どんな負けも
受け入れたら
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ハッピーハロウィーン!
すみません、とりあえず、ここに半分だけ。
4日までには終わらせます。
昨日言い忘れた大事なこと二つ。
1、仁王くんアルバムおめでとう!!!たのしみ~v
2、冬コミ落選しました。左藤先生毛玉先生不甲斐なく申し訳ない!
すみません、とりあえず、ここに半分だけ。
4日までには終わらせます。
昨日言い忘れた大事なこと二つ。
1、仁王くんアルバムおめでとう!!!たのしみ~v
2、冬コミ落選しました。左藤先生毛玉先生不甲斐なく申し訳ない!
猫になりたか
ぼそりとそう言った彼の言葉は耳よりも先に、頭に直接振動として響いた。
いま金太郎の頭の下にあるのは、千歳の腹。
横になったときに程よく力が抜け、硬すぎず柔らかすぎない腹筋は、絶好の枕になった。
上から見ると、少し横棒の長いアンバランスなT字になって、千歳と金太郎は寝っ転がっていた。
ニャアと金太郎の腹が鳴く。
千歳の腹の上に金太郎、金太郎の腹の上には、まだ成猫になりきらない猫が乗っていた。
正確には、その猫が発したニャアという鳴き声に、金太郎は猫を持ちあげ、目の前へと持ってくる。
指先が柔らかな毛の中に沈み、生き物の小さな鼓動を伝える肌はとても温かい。
このごろ少し風が冷たくなってきた。こうして外で寝っ転がっていられるのももうしばらくの間だけだろう。
これよりも気温が下がったら、きっと彼が跳んで来て叱責するに違いない。
猫になりたい、と千歳はそう言った。
金太郎は、まっすぐに手の中の猫を見る。
猫は、警戒心の欠片もなく、人の手の中であくびをした。
ふと金太郎は思った。
(それもええかもしれん)
いままでに一度も自分以外の何かになりたいだなんて思ったことはなかった。
けれど、何故かふと思った。
猫も悪くない。
その夜、金太郎は、夢を見た。
ふわふわの服を着た魔女っ子が金太郎の正面に立つ。
ハート型のステッキを当然のように振りかざした。
「あなたの願いを叶えてあげる」
金太郎は、目の前に立った人物を知っていた。
「小春や!どないしたんそれ」
絶妙なシワが入りくたっとしたトンガリ帽の下は、よく見知った坊主頭とメガネ。
小春は、どこもかしこもびらびらした金太郎にも手の込んでいるとわかるミニスカートの衣装を完璧に着こなしていた。
とてもよく似合っている。
「ユウジに作ってもろたんか?」
「せやで、ユウくん上手やろ」
ふふっと微笑んだ彼は、どう見ても金太郎の知っている人物だった。
魔女の扮装をした小春が滑らかにステッキを振る。同時に歌うように呪文を唱えた。
「ドンドンドドドン」
聞きなれた音階に金太郎は反射的に口を開き、続く小春の声と金太郎の声が重なる。
「してんほーじ!」
キラキラとした光が小春の持つステッキから金太郎目がけて降り注いだ。
夢を見て跳び起きるような繊細な神経を持ち合わせていない金太郎は、きちんと既定の睡眠時間を守って目を覚ます。
それでも夢を見たこととその内容を覚えていた。それは、金太郎にしては快挙に近い。
目を覚ますと、世界が一変していた。
自分が目を覚ましたのだから、いまが朝であることを金太郎は知っていた。
けれども朝とは思えぬ闇の中に居た。
首を回す。
何かが自分の上に乗っていて、それが外の光を遮っていた。
腕をつっぱって上に乗ったものをどかそうとするが、なぜか上手くどかせない。
自分の下にあるものも上にあるものも、あったっかくて柔らかい。
どう考えても布団だと思う。
毎朝布団から出るのに、こんなに苦労したことはない。
金太郎は首を傾げつつ、なんとか腕を動かし前進を試みる。
去年の運動会でやった障害物競走にあったネット走を思い出した。
柔らかな布に行く手を遮られつつもじりじりと前に進むと、ストンと左手の支えを失った。
「ビャ!?」
そのままの勢いで体勢が崩れ、まるで身の丈の五倍はあるかという高さの段差を落下する。
布団を振り切ったことでようやく朝らしい光を受け、黒目が絞られた。
たしっと軽い音をたててきれいに着地した金太郎は、まず自分が居たはずの場所を見上げる。
昨日までは見上げることなどなく、自分の脚の高さだったはずのベッドが眼前にそびえていた。その頂きを見ることは叶わない。
視線を下ろすと、手がおかしい。
「ふみゃ」
(?)
「ニャーニャー」
喋ろうとすると、猫が鳴く。
言葉が出ない。
金太郎の自室には、いま欲しいものがなかった。
目的のものを求めて走り出したところで、自分が二本脚で立っていないことに気づく。
洗面所に駆け込み、助走の勢いを殺さずに思い切りジャンプした。
洗面台に乗った金太郎が正面にあるものを覗き込む。
トラ縞の猫が居た。
全身のトラ縞の中、よく見ると右の腹だけにまだらな水玉模様が入っている。
そのまだらは、普段金太郎が着ているタンクトップの柄に良く似ていた。
金太郎は口を開いてみる。
「ニャア」
鏡の中の猫が鳴いた。
(猫や。猫になってしもーた)
ぼそりとそう言った彼の言葉は耳よりも先に、頭に直接振動として響いた。
いま金太郎の頭の下にあるのは、千歳の腹。
横になったときに程よく力が抜け、硬すぎず柔らかすぎない腹筋は、絶好の枕になった。
上から見ると、少し横棒の長いアンバランスなT字になって、千歳と金太郎は寝っ転がっていた。
ニャアと金太郎の腹が鳴く。
千歳の腹の上に金太郎、金太郎の腹の上には、まだ成猫になりきらない猫が乗っていた。
正確には、その猫が発したニャアという鳴き声に、金太郎は猫を持ちあげ、目の前へと持ってくる。
指先が柔らかな毛の中に沈み、生き物の小さな鼓動を伝える肌はとても温かい。
このごろ少し風が冷たくなってきた。こうして外で寝っ転がっていられるのももうしばらくの間だけだろう。
これよりも気温が下がったら、きっと彼が跳んで来て叱責するに違いない。
猫になりたい、と千歳はそう言った。
金太郎は、まっすぐに手の中の猫を見る。
猫は、警戒心の欠片もなく、人の手の中であくびをした。
ふと金太郎は思った。
(それもええかもしれん)
いままでに一度も自分以外の何かになりたいだなんて思ったことはなかった。
けれど、何故かふと思った。
猫も悪くない。
その夜、金太郎は、夢を見た。
ふわふわの服を着た魔女っ子が金太郎の正面に立つ。
ハート型のステッキを当然のように振りかざした。
「あなたの願いを叶えてあげる」
金太郎は、目の前に立った人物を知っていた。
「小春や!どないしたんそれ」
絶妙なシワが入りくたっとしたトンガリ帽の下は、よく見知った坊主頭とメガネ。
小春は、どこもかしこもびらびらした金太郎にも手の込んでいるとわかるミニスカートの衣装を完璧に着こなしていた。
とてもよく似合っている。
「ユウジに作ってもろたんか?」
「せやで、ユウくん上手やろ」
ふふっと微笑んだ彼は、どう見ても金太郎の知っている人物だった。
魔女の扮装をした小春が滑らかにステッキを振る。同時に歌うように呪文を唱えた。
「ドンドンドドドン」
聞きなれた音階に金太郎は反射的に口を開き、続く小春の声と金太郎の声が重なる。
「してんほーじ!」
キラキラとした光が小春の持つステッキから金太郎目がけて降り注いだ。
夢を見て跳び起きるような繊細な神経を持ち合わせていない金太郎は、きちんと既定の睡眠時間を守って目を覚ます。
それでも夢を見たこととその内容を覚えていた。それは、金太郎にしては快挙に近い。
目を覚ますと、世界が一変していた。
自分が目を覚ましたのだから、いまが朝であることを金太郎は知っていた。
けれども朝とは思えぬ闇の中に居た。
首を回す。
何かが自分の上に乗っていて、それが外の光を遮っていた。
腕をつっぱって上に乗ったものをどかそうとするが、なぜか上手くどかせない。
自分の下にあるものも上にあるものも、あったっかくて柔らかい。
どう考えても布団だと思う。
毎朝布団から出るのに、こんなに苦労したことはない。
金太郎は首を傾げつつ、なんとか腕を動かし前進を試みる。
去年の運動会でやった障害物競走にあったネット走を思い出した。
柔らかな布に行く手を遮られつつもじりじりと前に進むと、ストンと左手の支えを失った。
「ビャ!?」
そのままの勢いで体勢が崩れ、まるで身の丈の五倍はあるかという高さの段差を落下する。
布団を振り切ったことでようやく朝らしい光を受け、黒目が絞られた。
たしっと軽い音をたててきれいに着地した金太郎は、まず自分が居たはずの場所を見上げる。
昨日までは見上げることなどなく、自分の脚の高さだったはずのベッドが眼前にそびえていた。その頂きを見ることは叶わない。
視線を下ろすと、手がおかしい。
「ふみゃ」
(?)
「ニャーニャー」
喋ろうとすると、猫が鳴く。
言葉が出ない。
金太郎の自室には、いま欲しいものがなかった。
目的のものを求めて走り出したところで、自分が二本脚で立っていないことに気づく。
洗面所に駆け込み、助走の勢いを殺さずに思い切りジャンプした。
洗面台に乗った金太郎が正面にあるものを覗き込む。
トラ縞の猫が居た。
全身のトラ縞の中、よく見ると右の腹だけにまだらな水玉模様が入っている。
そのまだらは、普段金太郎が着ているタンクトップの柄に良く似ていた。
金太郎は口を開いてみる。
「ニャア」
鏡の中の猫が鳴いた。
(猫や。猫になってしもーた)
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